判 例

刑法判例

名古屋高金沢支判昭45.11.17 昭和45年(う)第97号:賭博開帳図利被告事件 高刑集23巻4号776頁

賭客に対する貸付準備金は、賭客の賭博行為を誘い、賭博の開張行為の継続を図るため、重要な役割を果たし、賭博開張の用に供されようとするものであるとみることができるので、犯罪供用物件に当たる。
刑法判例

最大判昭23.7.14

主文において何人から没収するかを明示していなくても、判文上、何人に対して没収を付加したのかが分かる場合には、理由不備の違法はない。
刑法判例

最判昭24.12.6 昭和24年(れ)第1967号: 贈賄幇助、贈賄 刑集3巻12号1884頁

供与の申込みをしたが収受されなかった賄賂は、「収受した賄賂」(刑法197条の4(現・197条の5))には当たらないことから、刑法197条の4によって没収することはできないが、刑法197条の4は刑法19条を排斥するものではないから、賄賂申込罪(刑法198条)の組成物件として、刑法19条1項1号により没収することができる。
刑法判例

大判大3.4.21

賭博において賭けた財物は、賭博罪の組成物件に該当する。
刑法判例

大判明45.4.2

没収物件が、刑法19条1項各号のいずれに該当するかは、その刑が科せられるべき罪質によって定まるので、通貨偽造準備のために供した物件は、通貨偽造準備罪に問擬される場合は組成物件として刑法19条1項1号に該当するが、偽造通貨行使罪に問擬される場合は、通貨偽造準備罪は偽造通貨行使罪に包含されるので、供用物件として刑法19条1項2号に該当する。
憲法判例

最大判昭25.3.15 昭和24年(れ)第731号: 強姦致傷、窃盗 刑集4巻3号355頁

裁判所が証人尋問中に被告人を退廷させても、尋問終了後に被告人を入廷させたうえで証言の要旨を告げて証人尋問を促し、かつ、被告人が退廷している間、弁護人が終始尋問に立ち会って補充尋問もした場合は、被告人が証人に対して審問する機会を十分に与えなかったものということはできず、証人審問権を保障した憲法37条2項前段に違反しない。
刑事訴訟法判例

最大判昭24.11.2 昭和23年(れ)第1382号:殺人、住居侵入 刑集3巻11号1691頁

被告人の公判廷外の自白と補強証拠によって犯行事実を認定することができる場合は、被告人が犯人であることについての証拠は自白のみで足り、補強証拠を要しない。
刑事訴訟法判例

最大判昭24.5.18 昭和23年(れ)第77号:殺人、同未遂 刑集3巻6号734頁

自白を補強すべき証拠は、犯罪事実の全部にわたることを必要とせず、自白に係る犯罪が現実に行われたことが裏付けられ、自白が架空のものでないことが確かめられれば足りる。
憲法判例

最大判昭30.4.6(帝銀事件) 昭和26年(れ)第2518号:強盗殺人、同未遂、殺人予備、私文書偽造、偽造私文書行使、詐欺、詐欺未遂 刑集9巻4号663頁

現在我が国が採用している方法による絞首刑は、憲法36条にいう「残虐な刑罰」に当たらない。
憲法判例

最判平18.6.20(光市母子殺害事件) 平成14年(あ)第730号:殺人、強姦致死、窃盗被告事件 集刑289号383頁

①犯行の罪質、②動機、③態様(殊に殺害の手段方法の執拗性・残虐性)、④結果の重大性(殊に殺害された被害者の数)、⑤遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合には、特に酌量すべき事情がない限り、死刑を選択するほかない。