刑法の機能

function_of_criminal_law 刑法総論
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刑法には、第一次的に法益保護機能、第二次的に自由保障機能があります(西田典之著、橋爪隆補訂『刑法総論』第3版、弘文堂、2019年、p.31以下参照)

1 法益保護機能

刑法は、生命・身体・自由・財産などの法益を侵害した場合には、刑罰を科することを予告することによって、人が犯罪行為を行わないようにするという役割を果たしています。

例えば、刑法は、以下のような規定を定めています。

  • 刑法199条(殺人)
    他人の生命を故意に奪った場合には、死刑等の刑罰を科すること
  • 刑法204条(傷害)
    他人の身体を故意に傷つけるなどした場合には、懲役等の刑罰を科すること
  • 刑法220条(逮捕及び監禁)
    他人を一定の場所に閉じ込めて自由に行動できなくするなどした場合には、懲役という刑罰を科すること
  • 刑法235条(窃盗)
    他人の財産を盗んだ場合には、懲役等の刑罰を科すること

このように、刑罰の威嚇によって人を犯罪行為から遠ざけ、その結果、犯罪行為によって法益が侵害されるという事態が生じないようにするという刑法の役割を、法益保護機能といいます。

法益保護機能は、一般予防機能特別予防機能といった2つの内容を持っています。「一般予防機能とは、社会の一般人を犯罪から遠ざける機能をいい、特別予防機能とは、特定の犯罪者に対して、将来、同様の犯罪を行わないようにする機能(大谷實『刑法講義総論』新版第5版、成文堂、2019年、p.8)をいいます。

より具体的にいえば、通常、人は刑罰という不利益を被ることは避けたいと考えるので、刑罰を受けるという結果をもたらす犯罪行為を行わないようにしようとするし(一般予防機能)、また、実際に犯罪行為を行った場合には、懲役によって一定の場所からの移動の自由を奪われるなどの不利益を現実に被ることになり、それに()りてもう二度と犯罪行為を行わないようにしようとする(特別予防機能)ということです。

法益保護機能

2 自由保障機能

刑法は、一定の行為(作為・不作為)を犯罪として、これに刑罰を科することを予告することによって、一定の行為を行わないように禁止し、又は行うように命令しています。

例えば、刑法199条(殺人)は、他人の生命を故意に奪った者には死刑等の刑罰を科することを定めていますが、これは、刑法が他人の生命を故意に奪うことを禁止しているということを意味しています。また、刑法130条後段(住居侵入等)は、要求を受けたにもかかわらず他人の住居等から退去しなかった者には懲役等の刑罰を科することを定めていますが、これは、刑法が他人の住居等から退去することを求められた場合には、(正当な理由がない限り)退去することを命令しているということを意味しています。

これは、逆にいえば、「刑法によって禁止・命令されている行為以外はまったく自由である(高橋則夫『刑法総論』第4版、成文堂、2018年、p.21)ということを意味します。

このように、「刑法に犯罪として定められていない行為は、それがいかに不道徳な行為であっても処罰されない(大塚裕史・十河太郎・塩谷毅・豊田兼彦『基本刑法Ⅰ-総論』第3版、日本評論社、2019年、p.4)として、人が刑罰を科されることを恐れることなく自由に行動できる範囲を画する刑法の役割を、自由保障機能といいます。

3 法益保護機能と自由保障機能の関係

法益保護機能と自由保障機能とは、以下のように、互いに矛盾・対立する二律背反の関係にあります。

法益保護機能と自由保障機能の関係

4 参考文献

  • 大塚裕史・十河太郎・塩谷毅・豊田兼彦『基本刑法Ⅰ-総論』第3版、日本評論社、2019年
  • 大谷實『刑法講義総論』新版第5版、成文堂、2019年
  • 高橋則夫『刑法総論』第4版、成文堂、2018年
  • 西田典之著、橋爪隆補訂『刑法総論』第3版、弘文堂、2019年
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