最決平17.3.29 平成16年(あ)第2145号:傷害被告事件 刑集59巻2号54頁

judgment 刑法判例
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要 約

自宅から隣家の住人に向けて、精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら、連日連夜、ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして、当該住人に精神的ストレスを与え、慢性頭痛症等を生じさせた行為は、傷害罪の実行行為に当たる。

主 文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中70日を本刑に算入する。

理 由

弁護人巽昌章の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案の異なる判例を引用するものであって本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。

なお、原判決の是認する第1審判決の認定によれば、被告人は、自宅の中で隣家に最も近い位置にある台所の隣家に面した窓の一部を開け、窓際及びその付近にラジオ及び複数の目覚まし時計を置き、約1年半の間にわたり、隣家の被害者らに向けて、精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら、連日朝から深夜ないし翌未明まで、上記ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして、同人に精神的ストレスを与え、よって、同人に全治不詳の慢性頭痛症、睡眠障害、耳鳴り症の傷害を負わせたというのである。

以上のような事実関係の下において、被告人の行為が傷害罪の実行行為に当たるとして、同罪の成立を認めた原判断は正当である。

よって、刑訴法414条、386条1項3号、刑法21条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 福田 博 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 今井 功 裁判官 中川了滋)

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