判 例

刑事訴訟法判例

最決平19.10.16 平成19年(あ)第398号:爆発物取締罰則違反、殺人未遂被告事件 刑集61巻7号677頁

有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」というのは、反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく、抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても、健全な社会常識に照らしてその疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には有罪認定を可能とする趣旨であり、このことは、直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異ならない。
刑法判例

最判昭28.1.30 昭和25年(れ)第1864号:住居侵入、業務妨害 刑集7巻1号128頁

威力業務妨害罪(刑法234条)にいう「威力」とは、犯人の威勢、人数及び四囲の状勢からみて被害者の自由意思を制圧するに足りる勢力をいい、「業務を妨害した」とは、具体的な個々の現実に執行している業務の執行を妨害する行為のみならず、被害者の当該業務における地位に鑑み、その遂行すべき業務の経営を阻害するに足りる一切の行為をいう。
刑法判例

最決平14.9.30 平成10年(あ)第1491号:威力業務妨害被告事件 刑集56巻7号395頁

東京都が都道である通路に動く歩道を設置するため、通路上に起居する路上生活者に対して自主的に退去するよう説得して退去させた後、通路上に残された段ボール小屋等を撤去することなどを内容とする環境整備工事は、強制力を行使する権力的公務ではないから、威力業務妨害罪にいう「業務」に当たり、このことは、自主的に退去しなかった路上生活者が警察官によって排除、連行された後、その意思に反して段ボール小屋を撤去した場合であっても、異ならない。また、同工事が公共目的に基づくものであるのに対し、路上生活者は通路を不法に占拠していた者であり、行政代執行の手続を採ってもその実効性が期し難かったことなど判示の事実関係の下では、威力業務妨害罪としての要保護性を失わせるような法的瑕疵を有しない。
刑法判例

最判平23.7.7 平成20年(あ)第1132号:威力業務妨害被告事件 刑集65巻5号619頁

卒業式の開式直前に、式典会場である体育館において、主催者に無断で、保護者らに対して、国歌斉唱のときには着席してほしいなどと大声で呼び掛けを行い、これを制止した教頭らに対して怒号するなどし、その場を喧噪状態に陥れるなどして、卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為をもって、威力業務妨害罪(刑法234条)に問うことは、憲法21条1項に違反しない。
刑法判例

最決平19.7.2 平成18年(あ)第2664号:建造物侵入、業務妨害被告事件 刑集61巻5号379頁

現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合、その立入りは同所の管理権者の意思に反するものであるから、立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立する。現金自動預払機利用客を、同人のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機に誘導する意図を秘して、その隣にある現金自動預払機を、あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装って適当な操作を繰り返しながら1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は、偽計業務妨害罪に当たる。
憲法判例

憲法判例

憲法を学習していくうえで必要となる重要判例をまとめています。判例は、原則としてそのまま引用していますが、読みやすくするため、以下のような修正を施しています。促音・拗音の表記になっていない箇所は、促音・拗音の表記に修正しています。漢数字は算用数字で表記するようにしています。適宜漢字にふりがなをふっています。適宜見出しをつけています。目次を付けています。要約を付けています。
刑事訴訟法判例

刑事訴訟法判例

刑事訴訟法を学習していくうえで必要となる重要判例をまとめています。判例は、原則としてそのまま引用していますが、読みやすくするため、以下のような修正を施しています。促音・拗音の表記になっていない箇所は、促音・拗音の表記に修正しています。漢数字は算用数字で表記するようにしています。適宜漢字にふりがなをふっています。適宜見出しをつけています。目次を付けています。要約を付けています。
刑法判例

刑法判例

刑法を学習していくうえで必要となる重要判例をまとめています。判例は、原則としてそのまま引用していますが、読みやすくするため、以下のような修正を施しています。促音・拗音の表記になっていない箇所は、促音・拗音の表記に修正しています。漢数字は算用数字で表記するようにしています。適宜漢字にふりがなをふっています。適宜見出しをつけています。目次を付けています。要約を付けています。
刑法判例

大判大15.3.24 大正14年(れ)第2138号:脅迫被告事件 刑集5巻117頁

名誉毀損罪又は侮辱罪の被害者となる者は特定した人又は人格を有する団体でなければならず、東京市民とか九州人というような漠然とした表示では名誉毀損罪又は侮辱罪は成立しない。
刑法判例

最決平12.2.17 平成9年(あ)第324号:業務妨害被告事件 刑集54巻2号38頁

強制力を行使する権力的公務以外の公務は、偽計・威力業務妨害罪(刑法233後段、234条)の業務に当たる。