最決平19.10.16 平成19年(あ)第398号:爆発物取締罰則違反、殺人未遂被告事件 刑集61巻7号677頁
有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」というのは、反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく、抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても、健全な社会常識に照らしてその疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には有罪認定を可能とする趣旨であり、このことは、直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異ならない。