刑法判例

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最判昭28.11.27 昭和27年(あ)第5833号:逮捕、監禁、暴行、脅迫、食糧管理法違反、傷害、銃砲等所持禁止令違反 刑集7巻11号2344頁

暴行・脅迫が不法監禁中になされたものであっても、不法監禁の状態を維持存続させるため、その手段としてなされたものでなく、全く別個の動機・原因からなされたものであるときは、暴行罪(刑法208条)及び脅迫罪(同法222条)は、監禁罪(同法222条)に吸収されず、別に成立する。
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最決昭39.1.28 昭和36年(あ)第2048号:傷害致死 刑集18巻1号18頁

狭い四畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り回す行為は、同人に対する暴行に当たる。
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東京高判昭25.6.10 昭和24年(を)新第2684号:傷害被告事件 高刑集3巻2号222頁

「暴行」(刑法208条)とは、人に向かって不法な物理的勢力を発揮することをいい、その物理的力が人の身体に接触することは必要ではない。傷害罪(刑法204条)は、傷害の結果発生の認識がなくても、傷害の結果が発生すれば成立する。
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最判昭29.8.20 昭和27年(あ)第6714号:暴力行為等処罰に関する法律違反 刑集8巻8号1277頁

「暴行」(刑法208条)とは、人の身体に対し不法な攻撃を加えることをいい、加害者が室内において相手方の身辺で大太鼓、鉦等を連打して意識もうろうにさせ、又は脳貧血を起こさせた場合も包含される。
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最判昭34.8.28 昭和31年(あ)第4042号:関税法違反、同幇助  刑集13巻10号2806頁

旧関税法(昭和23年法律第107号により改正された明治32年第61号)83条にいう「犯人」には、両罰則定の適用を受けるべき「法人」又は「人」をも含む。
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最大判昭41.11.30 昭和36年(あ)第823号:威力業務妨害 刑集20巻9号1076頁

事業ないし業務の実態が、権力的作用を伴う職務ではなく、民営の場合と異ならない場合は、国若しくは公共団体又はその職員の行う公務は、偽計業務妨害罪(刑法233条後段)及び威力業務妨害罪(234条)にいう業務に含まれる。
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最大判昭25.11.25(山田鋼業事件) 昭和23(れ)第1049号:窃盜 刑集4巻11号2257頁

憲法は、勤労者に対して団結権、団体交渉権その他の団体行動権を保障するとともに、全ての国民に対して平等権、自由権、財産権等の基本的人権を保障しているのであるから、後者が前者に対して絶対的優位を有することを認めておらず、一般的基本的人権と労働者の権利との調和を期待しているのであるから、この調和を破らないことが、争議権の正当性の限界となる。労働組合法1条2項は、労働組合の団体交渉その他の行為について無条件に刑法35条の適用があることを規定しているのではなく、ただ労働組合法所定の目的達成のためになした正当な行為についてのみ適用を認めているにすぎず、どのような争議行為を正当とするかは、具体的に個々の争議について、争議の目的並びに争議手段の両面にわたって、現行法秩序全体との関連において決する。
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最決昭32.4.4 昭和31年(あ)第938号:名誉毀損 集刑118号709頁

原判決は、摘示事実の真実性を確認できる証拠は1つも存在しない旨を判示して、原審における弁護人の控訴趣意を排斥しているのであるから、被告人が摘示事実を真実であると信じていたとしても、そう信じることが健全な常識に照らして相当であるとは認め難く、過失があったものといわざるを得ないという原判示は、必要のない余論であって、この点を攻撃する論旨は、判決に影響のない主張にほかならない。
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最判昭33.4.10 昭和31年(あ)第3359号:名誉毀損 刑集12巻5号830頁

言論の自由(憲法21条1項)の保障は絶対無制約ではなく、人の名誉を毀損する記事を新聞紙に掲載し、これを頒布して他人の名誉を毀損することは、言論の自由の濫用として、憲法の保障する言論の自由の範囲内に属するものと認めることができない。
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最大判昭39.7.1 昭和37年(あ)第1243号:関税法違反 刑集18巻6号290頁

旧関税法(昭和29年法律第61号による改正前のもの)83条3項にいう犯人とは、犯罪貨物の所有者又は占有者であった者に限らず、当該犯罪に関与した全ての犯人を含み、犯罪貨物の没収ができないときは、犯罪貨物の所有者又は占有者でなかった者に対しても、その価格に相当する金額を追徴することができる。