最判昭53.6.29(長田電報局事件) 昭和51年(あ)第310号:公務執行妨害 刑集32巻4号816頁
① 公務執行妨害罪にいう職務には、広く公務員が取り扱う各種各様の事務の全てが含まれる。② 職務の性質によっては、その内容・職務執行の過程を個別的に分断して部分的にそれぞれの開始・終了を論ずることが不自然かつ不可能であって、ある程度継続した一連の職務として把握することが相当と考えられるものがあり、そのような職務の各執行が事実上一時的に中断したとしても、その状態が被告人の不法な目的を持った行動によって作出されたものである場合には、職務の執行は終了したものということはできない。③ 公務執行妨害罪の主観的成立要件としての職務執行中であることの認識があるというためには、行為者において公務員が職務行為の執行に当たっていることの認識があれば足り、具体的にいかなる内容の職務の執行中であるかまで認識することを要しない。