相対的親告罪とは、犯人と被害者の間に一定の身分関係がある場合に親告罪となる犯罪をいいます。
具体的には、刑法244条(親族間の犯罪に関する特例)が適用される、
- 窃盗罪(同法235条)
- 不動産侵奪罪(同法235条の2)
- 詐欺罪(同法246条)
- 電子計算機使用詐欺罪(同法246条の2)
- 背任罪(同法247条)
- 準詐欺罪(同法248条)
- 恐喝罪(同法249条)
- 横領罪(同法252条)
- 業務上横領罪(同法253条)
- 遺失物等横領罪(同法254条)
などです。
刑法244条(親族間の犯罪に関する特例)
1項
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2項
前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3項
前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
例えば、Aと生計を一つにしていないAの伯父甲が、Aとは赤の他人である乙と共同して、Aが自宅に保管している高級時計を盗んだ場合、甲と乙はAに対する窃盗罪の共同正犯(刑法60条)となりますが、刑法244条の適用により、
- 甲については、甲はAの配偶者・直系血族・同居の親族以外の親族なので、告訴がなければ公訴提起することができない。
- 乙については、乙はAの親族ではないので、告訴がなくても公訴提起することができる。
ということになります。
このように、同じ犯罪の犯人であっても、被害者との身分関係の有無によって、人ごとに(=相対的に)親告罪となるかどうかが区別されるので、相対的親告罪といいます。