贓物とは、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物をいいます。
「当たる行為」なので、財産に対する罪が成立している必要はありません。例えば、Aが身に着けていた腕時計を、責任無能力者である甲が盗んだ場合、甲には窃盗罪(刑法235条)は成立しませんが、甲が盗んだ腕時計は贓物に当たります。
また、「領得された」とは、財産犯罪によって直接的に領得された物でなければならないことを意味しています。したがって、例えば、「会社の機密資料を一時持ち出し、これをコピーした後に元に戻しておく行為が窃盗や業務上横領にあたる場合であっても、当該コピーは財産犯によって直接領得された物ではない」(西田典之著、橋爪隆補訂『刑法各論』第7版、弘文堂、2018年、p.290)ので、贓物には当たりません。