要 約
賭博において賭けた財物は、賭博罪の組成物件に該当する。
上告理由
辯護人藤井濱次郎上告趣意書第1點原判決は其理由の部に於て「押收物件中金50銭は本件賭博行爲を組成したるものなるを以て同第19條※により之を沒收し」と説明したれども犯罪行爲を組成する物とは犯罪行爲の構成要件と爲れる物件の意義にして賭博に於ける賭銭の如きは罪體と稱す可きものにあらず然るに之を罪體なりとして沒收したるは法則を不當に適用したる違法の判決なり
判決理由
賭博罪に於て賭したる財物は則ち其犯罪行爲を組成したる物なるが故に原判決が押收の金50銭に付き論旨所掲の理由に依り沒收の處分を爲したるは正當なり
※ 刑法19条(昭和16年改正前)
1項
左に記載したる物は之を没収することを得
1号
犯罪行為を組成したる物
2号
犯罪行為に供し又は供せんとしたる物
3号
犯罪行為より生じ又は之に因り得たる物
2項
没収は其物犯人以外の者に属せざるときに限る
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