判 例

刑事訴訟法判例

高松高判昭27.4.24 昭和25年(う)第1244号:強制猥褻被告事件 高刑集5巻8号1193頁

強姦未遂の告訴には、これよりも軽い強制猥(わい)褻(せつ)の事実も含まれているので、強姦未遂についての告訴は、強制猥褻についての告訴としても効力を有する。
刑法判例

最判昭27.7.25 昭和25年(あ)第1992号:公務執行妨害 刑集6巻7号941頁

「お前を恨んでいる者は俺だけじゃない。何人いるか分からない。駐在所にダイナマイトを仕掛けて爆発させあなたを殺すと言っている者もある」、「俺の仲間はたくさんいてそいつらも君をやっつけるのだと相当意気込んでいる」などと申し向ける場合申し向ける行為は、脅迫行為に当たる。
刑法判例

最判昭26.7.24 昭和25年(れ)第981号:脅迫 刑集5巻8号1609頁

脅迫罪(刑法222条)における害悪の告知は、被害者に対して直接になす必要はなく、被告人おいて脅迫の意思で害悪を加えることを知らしめる手段を施し、被害者が害悪を被ることを知った事実があれば足りる。
憲法判例

最大判昭23.6.23 昭和22年(れ)第279号:銃砲等所持禁止令違反 刑集2巻7号722頁

旧憲法上の法律は、その内容が新憲法の条規に反しない限り、新憲法の施行後も効力を有する。
憲法判例

最大判昭24.5.18 昭和23年(れ)第1308号:食糧緊急措置令違反 刑集3巻6号839頁

国民は、憲法が保障する基本的人権を濫用してはならず、常に公共の福祉のために利用する責任を負う(憲法12条)ので、言論の自由といえども絶対無制約ではなく、公共の福祉による制約を受ける。
刑法判例

最判昭29.6.8 昭和27(あ)第4864号:暴力行為等処罰ニ関スル法律違反 刑集8巻6号846頁

駐在所付近で、「売国奴の番犬、A巡査をたたき出せ」と題し、「来るべき人民裁判によって明らかに裁かれ処断されるであろう」等と記載したビラを付近の住民等に頒布して、住民を通じて同巡査に入手させた場合、その言説内容と公知の客観的姿勢とが相まって、一の具体的・客観的害悪の告知であるといえ、また、普通一般人の誰もが畏怖するものと認められるので、刑法所定の脅迫に当たる。
憲法判例

最大判昭23.5.26 昭和22年(れ)第48号:窃盗 刑集2巻5号511頁

憲法37条1項にいう公平な裁判所の裁判とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成を持った裁判所による裁判を意味し、個々の事件について、その内容実質が具体的に公平妥当な裁判を指すものではない。
刑法判例

最判昭35.3.18 昭和34年(あ)第1812号:脅迫 刑集14巻4号416頁

2つの派の抗争が熾烈になっている時期に、一方の派の中心人物宅に、現実に出火もないのに、「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」という趣旨の文面の葉書を発送しこれを配達させたときは、脅迫罪(刑法222条)が成立する。
刑法判例

大阪高判昭61.12.16 昭和61年(う)第381号:暴力行為等処罰ニ関スル法律違反被告事件 高刑集39巻4号592頁

脅迫罪(刑法222条)の保護法益は意思決定の自由であるから、法人の代表者・代理人等に対して、法人の法益に危害を加える旨を告知しても、法人に対する脅迫罪は成立せず、法人に対する加害の告知が、ひいて現にその告知を受けた自然人自身の生命、身体、自由、名誉又は財産に対する加害の告知に当たると評価され得る場合にのみ、その自然人に対する同罪の成立が肯定される。
刑法判例

最判昭30.11.1 昭和28年(あ)第5372号:傷害、暴行、脅迫 集刑 110号79頁

犯人が他人に対し暴行を加えた後、更に別個の害悪を告知し脅迫行為をした場合、それが暴行行為の直後に同一の場所でなされたものであっても、暴行罪(刑法208条)に吸収されず、別に脅迫罪(刑法222条)が成立し、併合罪(刑法45条前段)となる。