判 例

刑法判例

最判昭34.5.7 昭和33年(あ)第2698号:名誉毀損 刑集13巻5号641頁

事実を摘示した直接の相手方が特定かつ少数人であっても、その者らを通じて不特定又は多数人に摘示した事実が伝播(ぱ)する可能性がある場合には、公然と事実を摘示したものと認められる。摘示事実の真実性が証明されなかった場合には、行為者が摘示した事実について真実であると信じていたとしても、名誉毀損罪が成立する。
憲法判例

最大判昭44.6.25(夕刊和歌山時事事件) 昭和41年(あ)第2472号:名誉毀損 刑集23巻7号975頁

刑法230条の2の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法21条による正当な言論の保障との調和をはかったものであり、両者間の調和と均衡を考慮すると、刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料・根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損罪(刑法230条1項)は成立しない。
刑法判例

最判昭28.12.15 昭和27年(あ)第3760号:名誉毀損 刑集7巻12号2436頁

相手方の氏名を明示しなくても、誰に対するものなのかが容易に分かる場合には、名誉毀損罪(刑法230条1項)の被害者の特定に欠けるところはない。公務と全く関係のない事実は、公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実(刑法230条の2第3項)に当たらない。
刑法判例

最判昭23.11.18 昭和23年(れ)第545号:窃盗教唆、賍物故買 刑集2巻12号1597頁

盗品等を有償で譲り受けた場合における盗品等は取得物件(刑法19条1項3号)に該当し、盗品等を売却して得た金銭は対価物件(同法19条1項4号)に該当する。
刑法判例

最判昭31.12.28 昭和29年(あ)第2657号:たばこ専売法違反 刑集10巻12号1812頁

追徴額は、現実の取引違反の価額ではなく、その物件の客観的に適正と認められる価額よる。
刑法判例

最判昭36.10.13 昭和33年(あ)第2480号:名誉毀損 刑集15巻9号1586頁

多数人の面前において人の名誉を毀損すべき事実を摘示した場合は、その多数人が特定しているときであっても、名誉毀損罪(刑法230条1項)を構成する。
刑法判例

最決平30.6.26 平成29年(あ)第530号:強姦未遂、強姦、強制わいせつ被告事件 刑集72巻2号209頁

被害者に犯行の様子を撮影録画したことを知らせて、被害者が捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ、刑事責任の追及を免れようとするために、強姦(かん)及び強制わいせつの犯行の様子を被害者に気付かれないように撮影し、デジタルビデオカセットに録画した場合、当該デジタルビデオカセットは、供用物件(刑法19条1項2号)に当たる。
刑法判例

最決昭58.11.1 昭和58年(あ)第960号:侮辱、軽犯罪法違反 刑集37巻9号1341頁

刑法231条(侮辱)にいう「人」には法人も含まれ、侮辱罪は、法人を被害者とする場合においても成立する。
刑法判例

大判昭5.6.25

現行法上、犯罪の主体となるのは自然人のみであって、原則として法人には犯罪能力がなく、特に法人を処罰する規定がない限り法人は処罰されないので、法人の代表者が法人の名義を用いて他人の名誉を毀損した場合においては、法人を処罰する規定がない以上、自然人であるその行為の行為者を処罰すべきである。
刑法判例

大判昭7.7.20

印章を偽造し、これを使用して文書を偽造したときは、印章偽造罪は文書偽造罪に吸収されるので、偽造印は印章偽造罪の生成物件として刑法19条1項3号によってではなく、文書偽造罪の供用物件として刑法19条1項2号により没収される。