最判昭24.5.28 昭和24年(れ)第562号:強盗殺人、強盗傷人、強盗、住居侵入 刑集3巻6号873頁

judgment 刑法判例
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要 約

犯人以外の者が所有していた物であっても、所有者が返還請求権を放棄した場合には、その物は、犯人以外の者に属しない物とはならず、沒収することができる。

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人若林清の上告趣意第1点について

しかし原判決はその摘示事実と之に照応する挙示の証拠とによって、被告人を所論強盗罪の共同正犯に問擬したことは明白であるから、原判決が当該事実に対する擬律において刑法第236条と同時に同第60条を適用したことは明かである。たゞ後者を併せて掲記することを遺脱したに過ぎない。このように判決書に刑法総則の法条を遺脱しても判文全体よりその遺脱が明白な場合は所論のように擬律錯誤の違法ありというべきでない。論旨は理由がない。

同第2点について

弁護人は原審第6回公判期日においてCとD2人の証人申請について「裁判所において再度御召喚方御取計い願いましたが(いず)れも送達不能につきこの(ほか)には別に証拠申請はありません」と述べているところより察するに、右は少くとも弁護人においてこれら証人の申請を固執する趣旨でないことを伺うに難くはない。裁判所は審理の進行に伴い心証を形成するに機が熟して、これら証人の事案に対する関係において必しもその重要性を認めざるに至り、(かた)(がた)弁護人の前記陳述の趣旨にも鑑み原審公判調書にも記載しているように原審は「送達不能の証人尋問は之を()さず」として(さき)にした証人喚問の決定を取消したものと解せられる。果して(しか)らば証拠調の範囲、限度を定めるのは事実審の専権に属するところであるから、前記の決定をしたからといって直ちに憲法第37条第2項の規定に違反するということはできない。論旨は理由がない。

同第3点について

刑法第240条後段の強盗殺人罪は強盗犯人が強盗をなす機会において他人を殺害することによりて成立する罪である。原判決の摘示した事実によれば、家人が騒ぎ立てたため他の共犯者が逃走したので被告人も逃走しようとしたところ同家表入口附近で被告人に追跡して来た被害者両名の下腹部を日本刀で突刺し死に至らしめたというのである。(すなわ)ち殺害の場所は同家表入口附近といって屋内か屋外か判文上明でないが、強盗行為が終了して別の機会に被害者両名を殺害したものではなく、本件強盗の機会に殺害したことは明である。然らば原判決が刑法第240条に問擬したのは正当であって所論のような違法はない。論旨は理由がない。

同第4点について

所論日本刀及(さや)が被告人Aの父左Bの所有物であったことは記録上明であるが、同時に右Bが生駒警察署に提出した始末書には「御署において然るべく処置して頂いて結構で御座います」という記載があって右Bは所論日本刀の返還請求権を(ほう)棄したものと認められる。然らば原判決が犯人以外のものゝ所有に属しないとして没収したのは正当であって所論のような違法はない。論旨は理由がない。

被告人Aの上告趣意について

論旨は要するに原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定、証拠調の限度を攻撃するの外寛大な処置を願うというに帰するから、いずれも上告適法の理由とならない。

よって、刑訴施行法第2条、旧刑訴法第446条に(のっと)り主文のとおり判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 岡本梅次郎関与。
 昭和24年5月28日
  最高裁判所第二小法廷
   裁判長裁判官    霜   山   精   一
      裁判官    栗   山       茂
      裁判官    小   谷   勝   重
裁判官藤田八郎は出張中につき署名捺印することができない。
   裁判長裁判官    霜   山   精   一

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