刑法判例

judgment 刑法判例
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総 論

違法性

違法性阻却事由

正当行為
  • 最大判昭25.11.25(山田鋼業事件) 昭和23(れ)第1049号:窃盜 刑集4巻11号2257頁
    労働組合法1条2項は、労働組合の団体交渉その他の行為について無条件に刑法35条の適用があることを規定しているのではなく、ただ労働組合法所定の目的達成のためになした正当な行為についてのみ適用を認めているにすぎず、どのような争議行為を正当とするかは、具体的に個々の争議について、争議の目的並びに争議手段の両面にわたって、現行法秩序全体との関連において決する。
  • 最大判昭24.5.18 昭和22年(れ)第39号:脅迫 刑集3巻6号772頁
    自救行為とは、例えば、盜犯の現場において被害者が(ぞう)物を取り返すような、ある一定の權利を有する者が、これを保全するため官憲の手を待つ(いとま)がなく、自ら直ちに必要な限度で適当な行為をすることをいう。

緊急避難

刑 罰

死 刑

科 料

没 収

各 論

個人的法益に対する罪

生命及び身体に対する罪

身体に対する罪
暴行罪
傷害罪

自由に対する罪

脅迫罪
逮捕・監禁罪
住居侵入罪

人格的法益に対する罪

名誉毀損罪
真実性の証明による免責
  • 東京高判昭28.2.21(インチキブンヤ事件)  昭和27年(う)第2626号:名誉毀損被告事件 高刑集6巻4号367頁
    刑法230条の2の真実性の証明について、裁判所が諸般の証拠を取調べ、真相の究明に努力したにもかかわらず、事実の真否が確定されなかったときは、被告人は不利益な判断を受けるという意味において、被告人は事実の証明に関し挙証責任を負うものということができる。
  • 最判昭28.12.15 昭和27年(あ)第3760号:名誉毀損 刑集7巻12号2436頁
    公務と全く関係のない事実は、公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実(刑法230条の2第3項)に当たらない。
  • 最決昭32.4.4 昭和31年(あ)第938号:名誉毀損 集刑118号709頁
    原判決は、摘示事実の真実性を確認できる証拠は1つも存在しない旨を判示して、原審における弁護人の控訴趣意を排斥しているのであるから、被告人が摘示事実を真実であると信じていたとしても、そう信じることが健全な常識に照らして相当であるとは認め難く、過失があったものといわざるを得ないという原判示は、必要のない余論であって、この点を攻撃する論旨は、判決に影響のない主張にほかならない。
  • 最判昭34.5.7 昭和33年(あ)第2698号:名誉毀損 刑集13巻5号641頁
    摘示事実の真実性が証明されなかった場合には、行為者が摘示した事実について真実であると信じていたとしても、名誉毀損罪が成立する。
  • 最判昭41.6.23 昭和37年(オ)第815号:名誉および信用毀損による損害賠償および慰藉料請求 民集20巻5号1118頁
    民事上の不法行為である名誉毀損については、その行為が公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は違法性を欠き、不法行為は成立しない。もし、摘示された事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、故意若しくは過失がなく、不法行為は成立しない。
    衆議院議員選挙の立候補者の前科等に係る事実は、公共の利害に関する事実に当たる。
  • 最大判昭44.6.25(夕刊和歌山時事事件) 昭和41年(あ)第2472号:名誉毀損 刑集23巻7号975頁
    刑法230条の2の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法21条による正当な言論の保障との調和をはかったものであり、両者間の調和と均衡を考慮すると、刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料・根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損罪(刑法230条1項)は成立しない。
    真実性の証明の方法は、厳格な証明による。
  • 最判昭56.4.16(月刊ペン事件) 昭和55年(あ)第273号:名誉毀損 刑集35巻3号84頁
    私人の私生活上の行状であっても、その携わる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、「公共の利害に関する事実」(刑法230条の2第1項)に当たり得る。
    「公共の利害に関する事実」(刑法230条の2第1項)に当たるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであって、摘示された事実の公共性の有無の判断を左右するものではない。
  • 最決平22.3.15 平成21年(あ)第360号:名誉毀損被告事件 刑集64巻2号1頁
    行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料・根拠に照らして相当の理由があると認められるときに名誉毀損罪が成立しないことは、インターネットの個人利用者による表現行為の場合であっても、他の表現手段を利用した場合と同様であって、より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではない。
侮辱罪

信用及び業務に対する罪

信用毀損罪
偽計業務妨害罪
威力業務妨害罪
電子計算機損壊等業務妨害罪

国家的法益に対する罪

国家の作用に対する罪

公務執行妨害罪
  • 最判昭53.6.29(長田電報局事件) 昭和51年(あ)第310号:公務執行妨害 刑集32巻4号816頁
    ① 公務執行妨害罪にいう職務には、広く公務員が取り扱う各種各様の事務の全てが含まれる。
    ② 職務の性質によっては、その内容・職務執行の過程を個別的に分断して部分的にそれぞれの開始・終了を論ずることが不自然かつ不可能であって、ある程度継続した一連の職務として把握することが相当と考えられるものがあり、そのような職務の各執行が事実上一時的に中断したとしても、その状態が被告人の不法な目的を持った行動によって作出されたものである場合には、職務の執行は終了したものということはできない。
    ③ 公務執行妨害罪の主観的成立要件としての職務執行中であることの認識があるというためには、行為者において公務員が職務行為の執行に当たっていることの認識があれば足り、具体的にいかなる内容の職務の執行中であるかまで認識することを要しない。
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